「位の頭を君に贈る」を観た話

懲りずにキュウにハマっている私は、ようやく彼らの公式YoutubeチャンネルにあげられているYoutube限定単独ライブ「位の頭を君に贈る」の三部作を観た。

「位の頭を君に贈る」は、地位、順位、単位という三つの「位(くらい)」にまつわるネタを胞する小単独だ。
実は、この記事を書く一週間前に一通りこの単独を観てはいたのだが、この単独に仕掛けられている「謎」が分からずそれを理解するまでは感想を書く気になれなかった。

ということは、やっとこの単独のひとつの「謎」を解くことができたということだ。私は鈍感だ。わかった今ではなんで気づかなかったのかしら、という気持ちでいるが、すっきりした気分でこの単独を消化できたので、もういい。

ネタのアレコレや謎解きには詳しく触れず、純粋な感想を書いていく。

キュウというコンビは、本当にチャレンジングなコンビだな、と常々思う。
そもそも、「Youtube限定小単独」という名称が気になっていた。

この社会状況下になってから、音楽ライブやお笑いライブ、舞台など、あらゆる娯楽が<配信>という形式をとることが多くなった。<ライブを配信する>ということ自体が常識になったといっても過言ではない。
正直、配信ライブというものを楽しむには配信側の工夫と、視聴側の慣れが必要だ。私も何度か音楽ライブの配信チケットを買ったことがあるが、やはり現地で楽しむことと比べてしまうと、なかなか乗りきれないな…と思ってしまった。
配信ライブ特有のメリットもある。居住地や体調などの関係で現地に赴くことが難しかった人がリアルタイムで楽しみやすくなったり、アーカイブ配信を行うライブだと、ライブ日程が合わずとも楽しめることができるようになったのはとても親切な試みだ。
ただし、個人的にはなんだかライブDVDを観ているような気分になって、実際にリアルな環境でライブを楽しむのとはそもそも土俵が違うと感じてしまう。

お笑いライブにぽつぽつ行くようになった今は、なるべく現地で観て楽しみたいので(お笑いというものを楽しむには、周りの雰囲気も大事な気がしてしまう)、チケットも配信ではなく舞台の物を優先して取っている。
だから余計に、「Youtube限定小単独」というネタの出し方はすごいな、と思った。自分たちの公式チャンネルにネタをあげている芸人全般に言えることだが、Youtubeに出すことで新規ファンの獲得や、好きなネタを何度も見ることができるのは観客としてはとても嬉しい。
だが、Youtubeの何回でも見れるという特性が娯楽の常識を変えたのも確かだ。テレビでネタをやるよりも、繰り返し見られやすい環境になっていることでそのネタがいろんな意味で浸透しやすくなる。やはり、舞台ではじめて見た素晴らしいネタの衝撃と面白さは筆舌に尽くしがたい。Youtubeが普及したのは本当に恐ろしい。

Youtube限定という意図はまだ掴み切れていないが、例えばキュウ、彼らの単独を気になった時に配信サービスで単独を見る前に彼らの世界観をミニマムに体験できる。さらに、単独に実際訪れた人や配信・DVDなどで単独を楽しんだ人間も、別媒体のみで出ているネタがあるなら見るだろう。
公開日時をみると、去年の夏頃なので彼らの単独の五回目が始まる前後だろうか。この小単独を堪能した後に単独ライブという大きなプロジェクトを見ることができるなんて、当時のファンを羨ましがるしかない。

さて、この小単独のネタ三部作だが、やっぱりというか、待ってましたというか、キュウの世界観を存分に味わえることは間違いない。詳しくは語らないが言葉遊びに見えて、話の転換がおかしくて楽しくて、面白い。ばかばかしさの間に見える、インテリジェンスな話の構成が興味深い。素人の私でも構成が「すごい」というのがひしひしと伝わってきて、その上でばかばかしい話をしている風景がなお面白く感じる。
個人的には、「上下」が好き。ぴろが話す<上下>に、ええと、あれ、だれがなんだっけ? と考えなくても、考えても、清水のツッコミで気持ちよく笑いが起こる。そのツッコミも、観客が「そうだよ!」と思っているようなツッコミを、スパンと打ってくる。もしかしたら珍しい部類のネタかもしれないな? 
実際に見た時にダハハと大きな声で笑ってしまって恥ずかしかった。

小単独の「謎」について、わかった時にはすっきりした。このときに感じた違和感はこれね、と見返してわかるという体験が、ネタだけではなくキュウ特有の単独全体にひそむ面白さに繋がる。いや、でも、わりとわかりやすい方かもしれないがなぜ私はこれに気づくのに時間がかかったのか…
だがこうして、一回目は何も考えずに感覚的に観て、以降は何が隠されているのかな? 何を伝えたいのかな? と考えて観れるのはすごく楽しい。
ああ、だから何回でも見れる媒体で出したのか……? 妄想に近い思考は止まらない。

観客の笑い声など入っていないのが、彼らのネタの特性をより強く表せる追い風になっているのも「Youtube限定小単独」として成り立っているのを感じた。雰囲気に流されない面白さを真っ向から受けることができる。前述した私の配信などに感じる思いも、流されていくような。

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私には、第五回単独「ヒーローは遅れて飛んでくる」も残っている。彼らの世界観をまだまだ楽しめる。そして、リアルタイムで生み出される彼らの表現を追うこともできる。

キュウはいつでも、一番、一番面白いな