ガーッと生きてドターッと休む

もう限界だ!

ない力を振り絞って稼働し続けている体が叫んでいる気がした。胃は荒れているし珍しく顔にニキビができている。不摂生でしれっと出てくる小さいやつじゃない。今か今かと外に出るのを待つもぐらのような根深いニキビだ。ここ数日、キャパオーバーぎみだった。泥のような汚水を溜め込んだみたいに重くなった頭を引っ提げて、近場の銭湯に駆け込んだ。体を洗ってため息ついて、広いとは言えない湯舟に自分を沈めた。

むおーんと体の端から端まで熱い湯が駆け巡る。銭湯に行ってお湯に浸かる瞬間が一番無になれる。たくさん頭を使うと脳みそが汚れたような気になる。毎日のお風呂じゃ取りきれない汚れを、銭湯だと綺麗に落とせる気がする。家より絶対雑菌だらけなのに。何もない時間がそこまで好きではないので、一人でいる時もいつも何かを空想したりするようにしている。唯一銭湯のでっかいお風呂に浸かっている時だけ空っぽな人間になれる気がするのだ。

銭湯に行った日はいつもより眠れる。かなり眠れる。眠くて眠くて仕方がない。明日からまた色々考えればいいよね、私の体がそういうふうに指令を出しているのかもしれない。もう今日はいいよね。頑張ったよね。口に出して布団に入ってみる。いつもならなんだかおさまりが悪くて眠れないけど、今日は眠れる。体が布団に吸い込まれた。眠っていた。

学生時代にバイトしていたコールセンターにいたおじさんが言っていた。
「俺の人生なんて、ガーッと生きて、ドターッと休む。これだけ! これしかねえんだよ」

おじさん。わたし、いまそれ。