文学フリマで買った本

5/21に行われた文学フリマ、出展者ではあったけどもちろんたくさんひとの本を買い込んできた。あまり買った本の感想とかを書くタイプではないのだけど、今回は知り合いの本も結構買っていたし、どの本ももちろんよかったので簡単に感想を書きたいと思います。著者敬称略。

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マンスーン
「20180915-20221228」

マンスーンさんのツイッターは結構前からフォローしていたのだけど、まさか2018年からのツイートが載っているなんて思わなくて、思わずのけぞった。ずっと140文字でこんなに特徴的な日記が書けるのすごいなあ、でも誰もが共感できる瞬間的な感情をのせているなあとか思っていたのだけど、こうやってまとめられていると圧巻のひとことしか出てこない。表紙デザインもかなり素敵で、マンスーンさんは昔好きなミュージシャンのCDデザインをしていたのだけど、そのデザインもかっこよかったのを思い出した。

 

mori&myc
「書き足りない気がしている」

(文フリ経由で仲良くなった)もりさんとそのお友達みやしさんの共同エッセイ集。あった時にこの本の話題が出てきてワクワクしてたから実際に買えて嬉しい!
出てくる話題や生活などもそれぞれ違うんだけど、どちらの文章も淡々としている部分があり、でもなんだか面白い出来事が起こっているのをじっと見つめているような気がして、さらに読んでいる自分がそれを覗かせてもらっている気になる。「いい感覚」になる。読んでいるとお二人が仲良いのがなんとなくわかるというか。私もふたりの友達になった気分だ。

 

黒木貴啓
スタジオジブリの仮面と覆面」

ジブリ作品に出てくる面についての本になっているのだけど、黒木さんの調査と思考からつらなる文章は毎回唸ってしまうほど面白い。ジブリ作品や仮面にあまり触れてこなかった人も絶対読んでほしいと思わせる考察力。四季ムツコさんのイラストがあるおかげで視覚的にも想像しやすいから、仮面文化に疎い私でもいろいろ想像できて楽しかった。なんといっても私は民俗学が好きで! だから読んでて楽しかった。

 

ムラタエリコ
「ユーハブマイワード」

むちゃくちゃ文章がうまい。プロのエッセイかと思った......。
飾りすぎていないし、自分の思考だけガガッとのせているわけでもないのに、どうしてか、彼女の心の一部分を見せてもらったかのような描写、凄すぎた。読みやすいのに没個性じゃないって、私にはとうてい真似できない。本当に真似できない。ページ数が多いのもそうだけど、立体感ある文章だから読んでてすごく満足しました。これいろんな人に読んでほしいなあ

 

西川タイジ
「はなればなれ」

私は以前出されていた「ミスドスーパーラブ」のキャッチーさと面白さが好きなんですが、今回のはなればなれもかなりよかった。特に最近自分が短歌に目が向いているというのもあるが、短歌7首とそれぞれの短歌から着想を得たショートショートを載せる、という構成がかなり好きでした。短歌だけでも成り立つけれど、それを解剖するみたいな物語、どれもグッとくるポイントがあって嬉しい気持ちに。やっぱり人間って少ない情報量で考えるのも好きだけど、どういう背景があるのか、を知るのも好きだということだ。

 

履歴書籍
「履歴書籍 第一巻」

私のブースの目の前に、気になっていたブースがあったので光に寄せられる虫のように買いました。人には言えない人生の履歴書をいろんな人に書いてもらって、それをまとめたという本なのだが、テーマが面白すぎてまずその時点ですごいなと思ってしまった。本を作る時に面白そうと思ってもらえるテーマを作って、それに沿って中身を作るということが私にとってはかなり難しいことだと、エッセイを書いているなかでいつでも実感することである。

高石智一
「ハードワーク」

装丁が凝っていてすごい。ブースで野菜を置いていたのでめちゃくちゃ惹かれる。
小さいサイズに少なめのページで軽めの小説ではあるが内容はかなり緊張感のあるストーリーだった。終わり方、うおおと唸るほど。こういうプロモーションがうまい創作物はすごく尊敬できると思った。
エンターテイメントを知る人が作ったような本。

 

胎動短歌
「胎動短歌 vol.3」

好きな歌人が参加していたのと最近短歌が好きになってきたので購入。
すごいなあ、短歌っていう括りでこんなに自由に書けるものなんだなあ。いまをときめく歌人からベテラン歌人までの最新の短歌を読めるってなかなかないので、これを読み返して短歌の気持ちを高めたい。一個だけ好きな短歌のせてもよいでしょうか

千種創一
水槽に太いアリゲーター・ガー眠る、春の幽かな浮力をいなし

 

Aruko Hanane
「Unknown Signal」

カルチャー雑誌。めっちゃいいなあ、音楽評論とか映画評論を仲間内でやりつつ対談も込みで......という(感覚違ったらすみません)、自由なアンソロジー。最近出版社を通さないリトルプレスマガジンがかなり好きになっているので、フリーな感じの内容で嬉しかった。カルチャー系と言うことで割と自分の興味がある範囲のことを解説していたりして、図らずも詳しくなった気分。こういう雑誌がもっと増えてほしい。

 

ヴァーチャル神保町勉強会
「ジリィスタイル vol.2 遊びを支える都市と場所」

うおおお〜〜面白すぎる。こういう本が読みたかったの一言。一応リトルプレスマガジンに該当するが、雰囲気は教科書のよう。何人かの論文をまとめたような本で、遊びや趣味というテーマを通しながら都市や場所のことを考察していくマガジン。
個人的に場所に楽しさや文化、カルチャーを見出すのがとても好きなので今の気分にぴったりだった。ちょっとこれがリトルプレス系で出てるってすごいことだよ

 

VACANCES MAGAZINE
「VABANCES vol.2 やさしいともだち」

なんとなく気になって立ち読みしたら、自分がよく行くお笑いライブの主催の人とほんの少し顔見知りの人の対談があって即購入。しかしそれだけじゃない!
いくつかのジャンル(音楽、映画、お笑い、漫画など)で、その世界に身を置いているアーティストなどが寄稿しているカルチャー雑誌。掲載ラインナップを見て一人でも気になる人がいたら買うべきだと思う。私は対談インタビュー目当てで買ったのに内容が面白くてすぐ読んでしまったから。

 

カフェバグダッド
「Baklava BANZAI deluxe」

私はトルコ料理が好きなのですが、特にスイーツの「バクラヴァ」がかなり好きです(トルコ以外にもバクラヴァはあるんだけど〜)。そんなバクラヴァの特集本が出ているのを知ったのですぐ買いに行った。
バクラヴァのことを知りたいならこれを読めばいいんだよ、と言えるくらいわかりやすくて文化的な背景も載せてくれている本。見てるとお腹空くのであんまり変な時間に読んではいけない。